【由衣】「えへへ〜、ついてたよ」
【巧巳】「あ、ああ…サンキュ…」

 一粒だけの米を噛んで飲み込む。
 少しだけ由衣の味がした…。

【巧巳】「ってこれだよこれーーっ!」

【由衣】「んに?」
【巧巳】「今の一連の流れっ! めちゃくちゃお前がイニシアチブとってんじゃん」

【由衣】「えー、嫌だった…?」
【巧巳】「嫌じゃなかったから困ってるんだっ」
【巧巳】「こ、このままじゃ…お前なしで生きていけなくなるかもしれないだろ!」
【由衣】「うわぁ…お兄ちゃんすごいこと言ってるよ〜」
【巧巳】「…あ、あぁ…なんかすごいこと言った気がする…」
【由衣】「でもお兄ちゃん…」
【巧巳】「ん?」
【由衣】「あたし、お兄ちゃんとずっと一緒にいるよ」
【由衣】「だから今のままで全然問題ないよ」
【巧巳】「…由衣…」

 ニコリと、屈託のない笑顔で言い切った。
 あまりにまっすぐなその言葉に、俺はしばし由衣に見とれる。
 そっか…ずっと一緒に…。

【巧巳】「だああぁぁ!! 今また流されかけたっ!」
【巧巳】「これがダメだって言ってるんだーー!」
【由衣】「んーと…つまり…」
【由衣】「お兄ちゃんは、あたしに命令していろんなことをさせたい…ってこと?」
【巧巳】「ぶっちゃけて言えばそうなる!」
【由衣】「改めて口にしちゃうと男らしくないねぇ〜」
【巧巳】「いや…、ある意味男らしいと思う…」
【由衣】「ま、いいや〜。おもしろそうだし」
【由衣】「お兄ちゃんの特殊な趣味もわかって良い感じだよー」
【巧巳】「俺の特殊な趣味か…」
【由衣】「あ、でも痛いのとかってやだよ?」
【巧巳】「大丈夫、そっちは俺も興味なしだから」
【巧巳】「とりあえず…そうだなぁ…テーマ的には新婚生活ってのはどうだ?」
【由衣】「わ…お兄ちゃんからそんなこと言ってくれたの初めてだ…」
【巧巳】「なにげに嬉しいだろ?」
【由衣】「うん、改めて言われるとドキドキしちゃうよ」
【巧巳】「ああ、ドキドキしてくれ」

 ………。
 ……。
 …。

【由衣】「んと〜…」
【由衣】「なんかすんごい格好…」

−んと〜…本編へ…−