朝、目が覚めてリビングに行くと…。

【巧巳】「………」

 テーブルの上に日本刀が置かれていた…。
 なにかの嫌がらせだろうか…。

【由衣】「あ、お兄ちゃん、おはよー」
【巧巳】「ああ、おはよう…」
【巧巳】「で、これはなんだ?」
【由衣】「刀〜」
【巧巳】「いや、そりゃ見ればわかる」
【巧巳】「つーか、本物なのか?」
【由衣】「うん」
【由衣】「鈴ちゃんの家の御神体なんだって」
【巧巳】「はぁ…って、なんでそんなもんがウチにあるんだ…?」
【鈴】「…す…すみません…」
【巧巳】「うぉ! 鈴ちゃん、いたのか」

 しかも巫女装束だ…。

【鈴】「は、はい…」
【巧巳】「えっと…これってどういうこと?」
【鈴】「実は…今日、大がかりな除霊があるんです」
【巧巳】「はぁ…」
【鈴】「昔、お侍さんに殺されてしまった、沢山の人たちの無念が詰まった石で…」
【鈴】「本殿の方にこの刀があると、その人達が怖がってしまうんです…」
【巧巳】「はぁ…なるほど…」
【巧巳】「で、ウチでこの刀を預かっててくれと」
【鈴】「はぃ…よろしいでしょうか…」
【巧巳】「ん、まぁ…俺はかまわないけど…」

 チラリと由衣を見る。
 とても興奮した様子で刀を凝視している…。

【由衣】「す…鈴ちゃん…この刀、抜いてみても良い?」

 興味津々のようだ。

【鈴】「えっと…できれば抜かないでほしいです」
【由衣】「はゃう〜…残念…」

 そう言いながらも、由衣は刀から目を離さない。
 こいつ…隙あらば抜刀しそうだ。

【鈴】「あの…今日の夕方には引き取りに来ます」
【巧巳】「ああ、なるべく早めに頼むな」

 由衣が我慢できるウチに…。

【鈴】「それではよろしくお願いします」
【巧巳】「ああ」
【巧巳】「あ、ちなみに奉っておいたりしなくても良いのか?」
【鈴】「えっと…できましたら、お塩とお水を刀の前に備えてあげてください」
【巧巳】「わかった」
【由衣】「除霊、がんばってねー」
【鈴】「はい。それでは失礼します」

 鈴ちゃんはペコリと頭を下げると、帰っていった。

【巧巳】「さてと…ん?」

 あれ? 由衣がいない…?
 鈴ちゃんの背中がまだそう遠く離れていないにも関わらず、既に由衣の姿はなかった。
 ──って! まさか!

−──って! 本編へ!−