どんなに必死になって走っても遅刻は遅刻。
人助けでもしての遅刻なら許してもらえるんだろうか…?
とにかく…つかれた…。
走るだけ無駄だったぜ…。



「はぁ…やっと休み時間だ…」

くて、と机に身体を預ける。
さすがに遅刻した授業で居眠りする度胸は無いからな…。
何度か意識は飛んだが、何とか耐えることが出来た。

「オレ、頑張ったよな…」

すげぇ頑張った。だから寝てもOK!

【隼人】「オウイエ…」

すげぇ頑張った。だから寝てもOK!

……。
…………。
ガシッ。

(んぅ? なんか息苦しく……首…が…絞め…)
「須々木隼人〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
「ぐおっ…テメ、いきなり何しや…ぐああっ!?」
「どうしてよ! どうしてキミなのよ!?」
「な、何が…って、ちょ、やめっ…」
「好きなのに! あたしの方が絶対絶対大好きなのにー!」
「ぐっ、ぐるじっ…はな、しやがれっ…」
「そりゃあたしたちは女の子同士よ!?」
「でもでも、気持ちが通じ合ってればそんなの関係ないし」
「魂に性別は無いって言うし、あたしは逞しいのもいいけど、柔らかいのも好みかな〜って…」
「だーーっ! いい加減にしろっ!!」



パシッ!

「ハァ、ハァ、ハァ……またてめぇか天峰千歳…
 寝込みを襲うたぁ、ずいぶんとイジメが陰険になってきたじゃねぇか…」
「イジメじゃないわよ! あたしの話聞いてなかったの!?」
「あんな状態で聞けるかぁっ!」
「頑張って聞きなさいよ!」
「普通に話せばいいだろ!」
「………」
「………」
「はぁ…何かどうでもよくなってきちゃった」
「待てコラ…
 安眠妨げられて怒鳴り散らされて、どうでもいいで納得すると思ってんのか…?」
「え? うん」
(こ、この女ぁ…)
「理由は何だよ。オレ、何かしたのか?」
「………」
「………」
「………」
「…おい?」
「べ、別に! ただそこはかとなくムカついただけよっ!」
「どんな理由だっ!」
「だから、キミは今すぐこの教室を出ないといけないのよ」
「…はぁ?」
「あたしの怒りを静めるために、キミはあたしにジュースを買ってこないといけないのよ♪」
「自分で買いに行け…」
「あっ、信吾。ちょっとちょっと」
(オレの言葉は華麗にスルー?!)
「ん? どうした、千歳」
「須々木くんがねー、ジュース奢ってくれるんだって。信吾もどう?」
「お、行く行く。気前がいいな、隼人」
「んなこと一言も言ってないから。
「オレは眠いの。だから今から寝るの。OK?」
「オッケオッケ。ウォーキングがてらジュース買いに行って目覚ますんだね」
「会話しろよてめぇ…」
「まあまあ。ここは言う通りにしてた方が、身のためだと思うぞ?」
「ああ、それは骨身によーく染みてるよ…」
「あたし、レモンティーね」
「…金」
「立て替えよろしくー♪」
「………」


菜月サイドのトラブルムードメーカー、天峰千歳。
パシらす上に代金立替。
…これはイジメの予感!
けど普段は仲がいいんだからっ!
ぶっちゃけよう、彼氏付き(信吾)なので攻略対象外だ!
でもこいつらのおかげ(?)で怪しいなHのルートが生まれ…ゴニョゴニョ